Googleは2019年3月19日(米国時間)、新しいゲームストリーミングプラットフォーム「Stadia」(スタディア・ステイディア)を発表し、2019年中に、アメリカ、カナダ、イギリス、ヨーロッパでの提供を開始するとしました。
今回はそんな「Stadia」について、サービス内容、価格、利用者の反応など、様々な視点から調べてみました。
目次
「Stadia」とは
今回Googleが発表した「Stadia」は、ゲーム機ではなく「Stadia」というサービスをいいます。
主な内容は、ゲームをGoogleのデータセンタ(サーバー)で動かし、ユーザーは自分のデバイスにそのビデオをストリーミングするというものです。
つまり、動画を視聴する感覚でゲームをするというサービスが実現します。
これまでのような長時間に及ぶダウンロードやインストール、アップデートが必要なくなり、ゲームを開始するまでの時間はたったの5秒というから驚きです。
さらに「Stadia」にアクセスするために新しいゲーム機などのハードウェアを買う必要はなく、一定のデバイスからなら「Stadia」を利用することが可能になります。
例えばChromeブラウザーやChromebook、Chromecast、Pixelなどのデバイスです。
つまりスマートフォン、タブレット、PC、テレビなど、ネット環境下にある画面さえあれば、デバイスを切り替えながら遊べるようになるわけです。
コントローラーを使用することも可能で、PlayStation 4やXbox One、Nintendo Switchを持っている方はそのコントローラーを使用することができるそうです。
またGoogleにも独自のコントローラーがあり、そちらを使用することもできます。
しかし現段階において難点も一つ。
モバイル環境において、Googleは最初からどんなAndroidデバイスでもこのサービスを使えるようにはしていないそうで、最初はPixelのスマートフォンとタブレットだけだそうです。
よって、iPhoneやiPadをお持ちの方はサービス利用を待たされるのことになるでしょう。
アップルではサードパーティのデジタルコンテンツ販売は必ずApp Store経由であるため、これがGoogleにとっての課題となるでしょう。
しかしアップル社がiPodを発表した際に、MacとWindowsどちらでも使えるようにしたという背景から見ても、アップル社製品で「Stadia」を利用できるように何らかの施策はされることと思います。
ストリーミングとは
通信回線で送受信される音声や動画をリアルタイムで再生する技術のことをいいます。
インターネット放送などの分野に用いられ、再生する端末でのデータの受信待ちや保持の必要がないのが特徴です。
こんなことができる「Stadia」
上記が主な「Stadia」の機能になりますが、それに付随してできることや機能が様々。
今後メインとなり注目されていくのが以下の通りです。
YouTubeと連動
YouTubeでは様々な広告が流れるように、ゲームの予告編が流れたあと、最後に別の映像のリストと一緒に「Stadiaでプレイ」という選択肢が表示されるようになります。
そこを選ぶとそのままゲームに移行し、画面がフルスクリーンになりダウンロードもパッチもインストールも不要で、特別なハードウェアもなく、ゲームを5秒以内に始めることができるようになります。
またこれまでのゲーム実況では、配信者が録画して配信した映像を視聴者が見るという一方的なものが主流でしたが、この機能により、ライブで配信者と一緒にプレイすることがいつでもどのタイミングでも可能になり、それをさらに視聴者が楽しむというスタイルが確立しそうです。
SNSなどからアクセス
簡単に起動して遊べる利便性は、YouTubeに限らず、GmailやTwitter、Facebook、Discordのチャット、テキストメッセージ、検索結果からも遊べるのだといいます。
つまり、それぞれのメディアに掲載されているゲームのURLをクリックするだけで、該当するゲームをプレイすることができるようになるということです。
これまで以上にネットゲームが手軽に楽しめるようになるわけですね。
またこれは、ネットでゲームをするということが、特定のストアに依存するものではなくなってきていることも意味しています。
今回のサービスでは「State Share」(ステイト・シェア)という機能も目玉の一つです。
多数のプレーヤー視点の動画ストリームをまとめて扱う多人数協力・対戦、ゲームの「状態」を保存して体験を共有できるシステムです。
つまり、私があるゲームをプレイしていてボスキャラでつまずいてしまった時に、その状態を保存して違うプレーヤーからそのボスキャラを倒してもらうということが可能になるということです。
さらにGoogle曰く、これまで多人数の協力プレイや対戦ゲームでは、サーバーが重くなることによるラグ(画面がカクカクしたり)が発生していたが、このサービスではデータ処理自体がGoogleの大きなシステムによって行われるため、ラグの解消はもちろん、プレイ人数も100、200ではなく、1000、2000という人数で行われるようになるとしています。
上記は例えの一つですので、その他にも使い方はいろいろあると考えられます。
価格は?
月額制の場合
Googleが「Stadia」の価格を設定するには2つの方法があると考えられます。
1つは、「Stadia」をゲーム版のアマゾンプライムと位置付けることです。
要は、毎月決まった月額で利用することが可能になり、ゲームリストにアクセスできるようになるというものです。
ユーザーがゲームを購入する必要はなく、新しいゲームの利用権を購入して遊ぶという考え方です。
例えば、SonyのPlayStation Nowは月額20ドルで、PS2からPS4までの750以上のゲームをPS4、もしくはPCにストリーミングできます。
それから、Jumpというゲームストリーミングサービスの場合、月額10ドルとかなり安価となっていますが、Stadiaは144Hzで1080pまたは60Hzで4Kの高解像度のゲームプレイを提供することでその価格に対抗しています。
「Stadia」はおそらく月額15ドル〜20ドルの間になると考えられています。
1年でゲームソフト2本買うことを考えたら十分元を取れますね。
購入の場合
もう1つの選択肢は、「Stadia」を無料もしくは低価格で利用できるようにして、代わりに「Steam」のようなゲームストアでゲームを購入するようにすることです。
価格自体はまだ未定ではありますが、開発者や出版社からゲームをストリーミングする権利を得る必要がないため、Googleからするとより簡単ではあります。
しかしユーザー側からすると、ゲームにアクセスするのではなく、ストリーミングしたいゲームを購入する場合、必ずしも「Stadia」である必要がなくなります。
よって購入のみという選択肢は考えにくいと思われます。
「おま国」の声も・・・
先にも述べた通り「Stadia」は2019年中にサービス開始の予定ですが、スタート時の対象エリアはアメリカ、カナダ、イギリス、ヨーロッパのみで、残念ながら日本は入っていないため、ネットでは日本でサービス提供されないことを残念がる声や、早く日本にも上陸してほしいといった声などが目立っています。
そんな声にまじって、ときどき出てくるのが「おま国」という言葉です。
「おま国」についてはこんな悲痛な叫びが出ています。
「安定のおま国」
「まーたおま国か」
「おま国されてるじゃねーか!」
「グーグルのプラットフォーム、おま国なんか」
「ついにGoogleからおま国される時代がやってきたのだ」
この「おま国」とはいったい何でしょうか。
この表現は2010年12月ごろから登場し、最初はゲームのダウンロード販売プラットホームであるSteam(スチーム)について発生した言葉でした。
Steamでは地域により販売が制限されていて、さまざまな事情から日本からのアクセスでは購入できないものがありました。
それを「お前の国には売ってやんねーよ」と表現し、それを略して表したのが「おま国」です。
現時点では日本にサービスを提供しないと言っているわけでなく、欧米諸国先行発信なだけだと思われます。
さらに日本だけでなく、アジア各国も含まれていないので今後新しい情報が発信されるとは思いますが、市場規模やネット環境などシステムの発展度合いを見ても、日本上陸は時間の問題だと考えられます。
終わりに
これまでネットゲームというと、専用のゲーム機がないと遊べなかったし、ましてやPCゲームとなると、ゲーミングPCといわれる専用のPCが必要で、とても身近なものではありませんでした。
ただ携帯電話の普及により、携帯専用ゲームはここ数年伸びてきて、私達携帯電話ユーザーにも近しいものがありました。
今回のサービスの登場により、現在所有する端末でゲームをすることができるようになるということで、ネットゲームがこれまでよりもさらに身近になるということは間違いないと思います。
日本にサービスが届くのはいつになるのか。
今後の展開に注目が集まります。