Googleの地図アプリ「GoogleMaps」で、道路が消えるなどの不具合が発生しています。
インターネット上で指摘が相次いでおり、Google日本法人は23日「現在解決に努めており、内容は調査中」としています。
なぜこのような事態になったのでしょうか。
詳細
ことの発端はGoogleが6日、ストリートビュー画像、交通機関などの情報を地域のユーザーからの情報を使い、新しい地図を開発したと発表していたことに始まります。
数週間以内に提供を始めるとしていたのですが、21日ごろから有料道路と一般道路の見分けがつきにくかったり、一部の道が消えたりしていることが指摘されていました。
これに端を発し、地図上の著作権表記からゼンリンの名前が消えていることが発覚。
グーグルに地図情報を提供してきたゼンリンとの契約変更がなされたのではないかとの憶測が広がったというわけです。
グーグル日本法人は「契約についてはコメントしていない」とし、ゼンリン側も「契約に関する回答は控える」としています。
ゼンリンの概要
ゼンリンデータコムは、住宅地図メーカー最大手ゼンリンの連結子会社で、 Google、Yahoo! JAPANなど主要サイトに電子地図データを提供している会社です。
ゼンリンが米グーグル向けに地図情報の提供を始めたのは05年7月から。
近年は地図データベース事業を主力として好業績が続いているようです。
18年4~12月期の連結決算は、売上高が429億円で前年比の8.8%増、営業利益が15億円で前年比116.4%増と増収増益となっています。
そのうち地図データベース事業は、売上高が350億円で全体の8割を占めています。
地図データベース事業の売上のうち、Googleマップからの売上がどれくらいかは不明ですが、ゼンリンの有価証券報告書では、17年4月~18年3月の売上については「主要な取引先に該当するものはない」とあるため、大部分をGoogleに依存しているわけではないようです。
ゼンリン株下落
22日の東京株式市場で「グーグルとの契約が解除されたのでは?」と憶測が広がり、ゼンリン株の売り注文が集中しました。
一時制限値幅の下限(ストップ安)となる前営業日比500円(17%)安の2457円まで下落。
終値は484円(16%)安の2473円となり、東証1部の値下がり率ランキング2位となりました。東京証券取引所に上場した1996年以降で最大とのこと。
ゼンリンの新たな契約
そんな中、ゼンリンには新しい契約先もあるようです。
ゼンリンから新たに地図データの提供を受けることを、アメリカの地図作製サービス会社「マップボックス」が今月発表しています。
マップボックスはソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資している会社です。
マップボックスは企業のウェブサイトなどに地図を組み込むためのサービスを提供していて、地図データが更新されると、利用者が加工した地図データにも変更部分が反映されるという仕組みを提供しています。
マップボックスは、ゼンリンとの提携で「小都市や地方の小さな道まで、詳細な情報を英語と日本語の両方で提供できる」としています。
Googleのコメント全文
今回Googleが地図情報変更の際に、実際にブログにコメントした全文を掲載しておきます。
日本の Google マップが変わります!(近日公開予定)
2019年3月6日水曜日Google マップは 2005 年に日本でサービスを開始して以来、さまざまな旅をしてきました。無数の道や店舗を地図に反映したり、ビルの中に入ったり、航空写真を撮影したり、3D 画像を追加したり、富士山を登って頂上からの景色を撮影したり、久慈の海女さんと海に潜ったりしました。
日本における Google マップの次のステップは、より柔軟かつ包括的なマップを皆さまに提供することです。そのために、ストリートビュー画像、交通機関を含む信頼のおける第三者機関から提供される情報、最新の機械学習技術、地域のユーザーの方々からのフィードバックなどを活用し、新しい地図を開発しました。
前述の、地域のユーザーからのフィードバックというのは、とても大事なポイントです。Google はテクノロジーを得意としますが、それぞれの場所を一番熟知している各地のユーザーから提供される情報は地図を作る上で欠かすことができません。新しい地図では、ユーザーの皆さまがより簡単にフィードバックを送れるようになり、いただいた情報を元に Google は地図を最新の情報にアップデートすることができます。情報の更新や修正が必要な場合、ぜひマップの 「フィードバックの送信」 ツールからお知らせください。
地図が新しくなることで、「次を右折」だけではなく、「コンビニで右折」といったように、ランドマークを目印とするナビゲーションといった、わかりやすい徒歩ナビゲーション、そして今後数ヶ月の間にはより便利な乗換案内やダウンロード可能なオフラインマップなどの機能が加わります。
新しい Google マップはまだ公開しておりませんが、今後数週間以内に提供を開始する予定です。いつもの通勤やレストランの検索に Google マップを使う際、新しい Google マップをご覧になって皆さまが戸惑うことがないよう、早めにお知らせしています。Google は、今後も皆さまの力をお借りし、Google マップを最新かつ正確に充実させ、地域の人々、観光客など、誰もが便利に使えるサービスを提供してまいります。
終わりに
今回の地図変更に伴い、私も実際にGoogle Mapsを開いてみたところ、確かに微妙に違うのかな?という感覚を覚えました。
これまでの仕様から突然変わったことを考えると、普段から使っている人は尚更その違いに気づいたのかも知れませんね。
正直なところ、なければないで困ることもないですが、地図が正確さに欠けるというのは致命的です。
Googleにおいては、早めの対処が求められます。