ニュージーランド南島のクライストチャーチで15日、イスラム教のモスクを何者かが襲撃し、銃を乱射する衝撃の事件が発生しました。
これにより、49人が死亡、40人以上が怪我をしました。
なぜこのような凄惨な事件が起こってしまったのか。いろいろと調べてみました。
事件の概要
事件は日本時間の15日午前10時ごろ、ニュージーランド南島のクライストチャーチ中心部にある二箇所のモスクで発生しました。
犯行に及んだのは20代後半のオーストラリア人の白人男性で、この日はたくさんの人が集まる金曜礼拝の最中でした。
小銃とみられる銃を持った男がハグレー公園近くのモスクに侵入し、無差別に銃を乱射しました。
そしてさらに、東に約5キロメートル離れた住宅街のモスクでも乱射を繰り返しました。
実行犯は、軍や警察で使われるセミオートマチックの小銃を使用し、なんと自分のヘルメットに装着したカメラで犯行の様子を約17分にわたりSNSでライブ配信していました。
これまでに男3人と女1人の身柄を拘束したとのことですが、事件が収束したかどうかはわからないとして、地元警察は市民に対し引き続き安全な場所に避難するよう呼びかけています。
銃の乱射をライブ配信とはなんとも恐ろしい話しです。
犯行の動機
男は、犯行前に移民を非難する74ページにも及ぶ「声明」を発表していました。
15日にインターネット上に「侵略者を襲撃する」という匿名の投稿があり、フェイスブックでのライブ映像につながるリンクなどが加えられていました。
声明文では襲撃の動機として、移民を意味する「白人の大虐殺」とマイノリティー人口の増加が挙げられていて、それに加えて「イスラム教徒が大嫌い」という言葉も見られました。
実行犯の男はオーストラリア出身ですが、オーストラリアはニュージーランド同様、中東やアジアからイスラム教徒を含む多くの移民を受け入れてきました。
さらにこの実行犯の男は「極右主義者」と地元政府が発表しています。
犯行の動機がこういった差別的理由だとすれば、自分勝手で身勝手な行為だといえるでしょう。
首相の言葉
ニュージーランドのアーダーン首相は、同国で警戒レベルが最高に引き上げられたと発表しました。
そして今回の銃乱射が「テロ行為だとしか呼べない」として、「NZにとって最も陰鬱な日の1つになった」と述べました。
また16日朝、記者会見したアーダーン首相は、容疑者が合わせて5丁の銃を所持していたことを受け、「届け出制で猟銃を所有する人が多いニュージーランドの銃所持規制を強化する」と述べました。
犯人像
先にも述べましたが、これまで男3人と女1人の計4人が拘束されていますが、この中でも実行犯の男の身元がわずかではありますがわかっています。
名前は、ブレトン・タラント容疑者。28歳でオーストラリア出身。
極右的思想の持ち主で、白人至上主義でもあるとされています。
犯行の一部始終をSNSでライブ配信したのもこの人物になります。
その他の拘束された人物たちについてはよくわかっていません。
ニュージーランドの法制度
今回の犯人にどのような刑罰が課されるか気になるところではあります。
しかし自らの命で持って罪を償うなど、さぞ重い刑罰が課されることになると思いきや、なんとそうでもなさそうなのです。
実は、ニュージーランドには死刑制度がないというのです。
さらにニュージーランドの刑務所は、快適な個室が完備されてるともいいます。
刑務所内は医療施設や図書館があり、受刑者自身も社会の一員であると感じられるようデザインされているといいます。
これまでの刑務所のイメージとはかけ離れていますね。
刑の重さについては、重犯罪についてだけでもいいので、見直しがあってもよさそうな気がしますね。
終わりに
ここ最近では特に大きな発砲事件となりましたが、特質すべきは犯人の思想や信念によって引き起こされた事件だということです。
歴史的に見ても、これまで起こってきた戦争や革命も自分たちが正しいという思いから引き起こされてきています。
しかしながら今回の事件は、政治的な戦争や革命ではなく、ただの好き嫌いが生んだ虐殺でしかありません。
戦争には民間人を巻き込んではいけないという国際的なルールがありますが、今回の事件は完全なる無差別殺人です。
戦争がいいとはいいませんが、違いがあるとすればそんなところでしょう。
これだけの思想家がそのことに気づいているのか疑問ではありますが、100人近い人を巻き込んでいることを重く受け止めてほしいと思います。